内容は薄田大輔氏による研究報告(「長篠長久手合戦図屛風(徳川美術館蔵)再考 絵画史研究の視点から」)です。薄田氏の研究報告は、関連する図様を博捜し、それらの共通点や相違点を図示したうえで論点を提示する明快な内容でした。活字化のご予定があるとのことですので、内容的なことは差し控えたいと思います。
改めて感じたのは、絵画を見るときのポイントです。美術史の方々と一緒に作品を眺めていると、視点の違いに驚かされること、教わること大です。恥ずかしながら、合戦図屏風に描かれた草木や山川などは「刺身のツマ」くらいにしか思っていませんでしたが、流派や制作年代を考える上でとても重要なのですね。
また、現存しない祖本・親本を考察する分析手法について考えさせられました。文学研究でも「原平家」をめぐって様々に議論されているようですが、歴史学はどうでしょうか。原本がなく写しかない古文書の場合、いくつかの写本同士を比較しますが、これといった方法論はあるでしょうか? もちろんケースバイケースなので何とも言えませんが、いろいろな意味で勉強になりました。(文責:堀 新)
以下の図版は、①当日のZoom画面、②薄田氏レジュメ(一部)、③徳川美術館所蔵「長篠合戦図屏風」(六曲本)、④同「長久手合戦図屏風」、⑤同「長篠合戦図屏風」(八曲本)(③④⑤とも『戦国合戦図屏風の世界』より)。





この記事へのコメント
YAMA
定期的に「オンライン研究会」が開催されているようですが、
過去のオンライン研究会の資料(レジュメ)を有料で購入できますでしょうか。
よろしくお願いします。
YAMA
ご回答は当方のメール宛てにお送りいただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。